Issue 02 2026.10.15
This week — 3 stories

世界のカンナビスカルチャーを、週に一度、厳選して。

今週は、ニューヨークに上陸するWiz Khalifaのブランド、火山の島セントビンセントに残る在来の品種、そして北米ツアーを終えるTrickyのインタビューから。

16:20 ― 針と針のあいだは、10度。
  1. 01Wiz Khalifaの「Khalifa Kush」、ニューヨークに上陸Products / US
  2. 02火山の島に残るサティバを探して。カリブ海セントビンセントの旅Strains / WORLD
  3. 03Massive Attackの初期メンバーTricky、ハシシと「シングルのないアルバム」を語るCulture / WORLD
01
Category
PRODUCTS
Where
アメリカ・ニューヨーク州
When
10月14日 発表

Wiz Khalifaの「Khalifa Kush」、ニューヨークに上陸

夕暮れの紫色の空と、水面に映るニューヨークの摩天楼。
イメージ(AI生成)
Summary

ラッパーのWiz Khalifaが手がけるブランドKhalifa Kushが、ニューヨーク州に進出します。先住民が所有する地元のブランドSkyworldと組み、10月31日から州内36店で発売します。

Khalifa Kushは、ラッパーのWiz Khalifaが自分の名前を冠して立ち上げた大麻ブランドです。10月14日、ニューヨーク州への進出を発表しました。アメリカ国内では14か所目の市場になります。

組む相手は、ニューヨーク州のブランドSkyworld。先住民が所有するブランドで、室内で丁寧に育てるフラワーを得意としています。州内での栽培と配送は、Skyworldが担います。

発売は10月31日から。最初に並ぶのは「KK」と「Violet Sky」の2品種で、フラワーと巻いた製品の2つの形で売られます。Violet Skyは、Khalifa MintsとGastroPopをかけ合わせた品種で、花のような香りが特徴とされています。

取り扱うのは州内36店です。ニューヨーク市内に7店、州の北部とロングアイランドに29店。品種や製品の種類は、これから増やしていく予定です。

Our view

有名人のブランドが新しい土地に出ていくとき、誰と組むかはブランドの印象を大きく左右します。今回Khalifa Kushが選んだのは、その土地に根ざした先住民のブランドでした。Skyworldはバスケットボール選手のCarmelo Anthonyとの共同商品も手がけていて、音楽とスポーツのスターが、同じ地元の作り手のもとに集まっているのも面白いところです。

02
Category
STRAINS / CULTURE
Where
セントビンセント・グレナディーン
When
10月10日 動画公開

火山の島に残るサティバを探して。カリブ海セントビンセントの旅

Summary

カリブ海の島セントビンセントで、昔から受け継がれてきた品種を探す旅の動画が公開されました。2021年の火山の噴火で多くの品種が失われた島で、火山のふもとの農家を訪ね歩いています。

セントビンセントは、ベネズエラの北に浮かぶカリブ海の島です。人口はおよそ11万人。カリブ海ではジャマイカに次ぐ大麻の産地として知られ、背の高いサティバが育つ島とされてきました。

その島を、2021年4月9日にラ・スフリエール火山の噴火が襲いました。およそ1万6,000人が避難し、火山灰は170km以上離れたバルバドスまで届いたといいます。地元の栽培者によると、島で受け継がれてきた品種の多くが、このとき失われました。

アメリカの種の会社Humboldt Seed Companyのチームは、船で海岸沿いを回り、丘を登って、昔から育てている農家を探しました。栽培は今も火山のまわりに集まっています。火山灰の土は、地球の地殻のごく一部にしかありませんが、とても肥えているそうです。

見つかったのは、高さ2.5メートル近いサティバ。地元では「ラムズブレッド」と呼ばれています。こしょうのような刺激に、マンゴーの甘さが少し混じる香りが、この島らしさだといいます。チームは、伝説の「セントビンセント・ゴールド」かもしれないと考え、種を分析に回しています。

Our view

品種の話題というと新しい交配が中心になりがちですが、この旅が追っているのは逆の方向、失われかけた土地の品種です。噴火という一度の出来事が、何世代も受け継がれてきた植物を消してしまう。その中で残ったものを、土地の農家と一緒に探す。品種のトレンドの裏側に、こうした守る動きがあることも伝えたいと思いました。

03
Category
CULTURE
Where
イギリス(北米ツアー中)
When
10月13日 掲載

Massive Attackの初期メンバーTricky、ハシシと「シングルのないアルバム」を語る

Summary

Massive Attackの初期の作品に参加したことで知られるTrickyが、High Timesのインタビューに答えました。7月に出た6年ぶりのソロ名義の新作のこと、ハシシとの付き合い方、アルバムの作り方を語っています。

Trickyは、イギリス・ブリストル出身の音楽家です。1990年代にMassive Attackの作品に参加し、その後はソロで、暗く美しい独自の音を作ってきました。7月17日には、自分の名前で出すアルバムとしては6年ぶりとなる『Different When It's Silent』を、自身のレーベルFalse Idolsから発表しています。

インタビューが掲載されたのは10月13日。9月から続いた北米ツアーが、終わりに差しかかった頃です。Trickyは新作を「初めてのインディー・アルバム」と呼び、オルタナティブ・ロックに近い音だと話しています。

大麻については、ハシシを吸うこと、それが自分の文化の一部であることを率直に語っています。父親がジャマイカ出身で、10代の半ばに父と一緒に吸い始めたそうです。そのうえで、どんな品種が合うかは人の育ちによって違う、とも話しています。

音楽の作り方の話も印象的です。アルバムはひとつの作品として作り、シングルは最後に選ぶ。ラジオで受けそうな曲でも、アルバムの流れに合わなければ外すといいます。先行曲「Out of Place」はサビのない曲ですが、BBCのラジオ局6 Musicで重点的に流す曲に選ばれました。

Our view

Trickyの話は、大麻を酔うための道具としてではなく、家族の記憶や暮らしの文化として語っているところに惹かれます。ヒットしそうな曲を外してでもアルバムの流れを守る、という作り方とも通じるものがあります。急がず、全体で味わう。16:20がカンナビスカルチャーを伝えるときにも、大事にしたい感覚です。